雇用契約書に潜む「兼業禁止」の落とし穴
多くの会社員が副業を検討する際に見落としがちなのが、自分の雇用契約書に記載された「兼業禁止」条項です。
一般的な雇用契約書では、会社の許可なく他の仕事に従事することを禁じているケースが少なくありません。
この条項に違反して副業を行うと、最悪の場合、懲戒処分や解雇事由となることもあります。
特に注意すべきは、契約書の文言が「会社の承認を得れば可能」となっているのか、完全に禁止されているのかという点です。
また、入社時にサインした契約書の内容を覚えていない人も多いため、副業を始める前に必ず契約書を確認し直すことが重要です。
近年は副業を認める企業も増えていますが、業種や職種によっては競合他社での就労や利益相反を特に厳しく制限していることもあります。
- 副業を始める前に契約書を確認することが重要です。
- 契約書の内容によっては、兼業が完全に禁止されている場合があります。
- 企業によっては副業を認めるところも増えていますが、条件が異なることに注意が必要です。
就業規則で定められた副業可能な範囲とは
雇用契約書と並んで確認すべきなのが会社の就業規則です。
多くの企業では、副業に関する詳細なルールが就業規則に定められています。
例えば「本業に支障がない範囲」「会社の信用を損なわない業務」「競合他社でないこと」といった条件付きで副業を許可しているケースが一般的です。
就業規則を確認する際のポイントは、副業の申請手続きの有無、時間的制限(週何時間まで可能か)、業種の制限などです。
特に注意が必要なのは、副業先での労働時間と本業を合わせた労働時間が法定労働時間を超えないようにすることです。
また、就業規則が改定されている可能性もあるため、最新版を確認することも大切です。
副業が認められている場合でも、事前申請制になっていることが多いため、手続きを怠らないようにしましょう。
知的財産権はどちらのものになるのか
副業で創作活動やコンテンツ制作を行う場合、特に注意すべきなのが知的財産権の帰属問題です。
多くの企業では、雇用期間中に従業員が生み出した発明やアイデア、著作物の権利は会社に帰属すると定めています。
この規定が広範囲に設定されている場合、副業で生み出した成果物の権利まで会社のものになってしまう可能性があります。
特にIT業界やクリエイティブ職では、この点が大きな障壁となることがあります。
契約書の「職務発明」や「著作権の帰属」に関する条項を細かく確認し、必要に応じて会社と事前に協議することが重要です。
また、本業で得た専門知識やノウハウを副業で活用する際も、秘密保持義務に違反しないよう注意が必要です。
副業内容と本業との関連性が高いほど、この問題は複雑になります。
収入申告と税務処理の落とし穴
副業を始める際に見落としがちなのが、収入の申告義務と税務処理の問題です。
年間の副業収入が20万円を超える場合、確定申告が必要となります。
しかし、多くの企業では副業の有無や収入額を会社に報告する義務を就業規則で定めていることがあります。
これは税務上の問題だけでなく、雇用契約上の透明性にも関わる重要な点です。
特に注意すべきは、会社によっては副業収入の上限を設けていたり、収入規模によって副業の許可を取り消す可能性があることです。
また、副業の内容によっては開業届の提出が必要なケースもあります。
さらに、社会保険の扶養範囲内で働きたい場合は、本業と副業の合計収入に注意する必要があります。
副業を始める前に、税理士に相談するなど、適切な税務知識を身につけておくことで、後々のトラブルを避けることができます。
まとめ
副業を始める前には、雇用契約書の兼業禁止条項や就業規則の確認が不可欠です。
特に副業の許可条件や申請手続き、時間的制限などを把握しておきましょう。
また、副業で生み出す知的財産権の帰属問題にも注意が必要です。
さらに、副業収入の会社への報告義務や確定申告などの税務処理についても事前に理解しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。